トランスクリエーションとは?海外で「売る」ための翻訳

トランスクリエーション (transcreation) という言葉を聞いたことがありますか?翻訳 (translation) と創造 (creation) を組み合わせた造語で、文章を正確に訳すことを目的とせず、創造性を加えた翻訳を指します。グローバル化が進む今日、トランスクリエーションの需要はますます高まっており、海外との取引で重要な役割を果たしています。 

上の図にあるように、当社が提供する翻訳・ライティングサービスは創造性によって4つに分類しています。③トランスクリエーションは、原文をもとにフォーマットや内容を大きく変更します。④のクリエイティブライティングは翻訳ではなく英文を一からおこす作業となります。 

トランスクリエーションが求められる分野 

トランスクリエーションは、文章を正確に訳す必要がある契約書、取扱説明書、法的書類などには適しません。効果を発揮するのは、営業やマーケティングの分野です。例えば商品の販促資料があるとします。海外で商品を売るにあたって、オリジナルである日本語版を翻訳すれば十分でしょうか?

考えてみて下さい。日本語の資料というのは、日本で日本人が読む前提で作られています。ですが海外では日本人でない人が読むわけですから、言語はもちろんのこと、商品に対する知識、文化的な背景、基準、単位などが違ってきます。これらを考慮して「読む人目線」で作成するのがトランスクリエーションです。 

例をあげます。以前にアメリカ人から、日本製の精密部品について質問を受けました。英語パンフレットに製品の規格が列挙されていたのですが、よく分からないと言います。そこにあるのは日本で認定される規格ばかりで、アメリカ人には馴染みのないものでした。海外に商品を売り込む時は、それが各国や国際的な規格でどれに類似するかも記載しないと、せっかくの品質保証も色あせてしまいます。JIS認定を単にJIS Certifiedと訳すだけではなく、ここまで気を回すのがトランスクリエーションです。 

視点の違いは想像よりも大きい 

私は米国カリフォルニア州に住んでいます。日本とは対岸にあり、訪日経験者や親日派も多い土地です。アジアからの移民が多く、東洋の価値観に理解を示す文化がありますが、それでも「アメリカ人と日本人の視点は違う」といつも感じます。 

例をあげましょう。私の自宅裏庭ですが、この写真を見てまず何に目が行きますか? 

backyard

日本人はたいてい「すごい大きなヤシの木!」という反応を示します。ではアメリカ人は?ほぼ全員が芝生について言及します。この辺の人達にとってヤシの木は珍しくもなんともないので、誰も注目しません。一方、芝生はその家を象徴するとまで言われるほど、手入れに気を使う人が多く、他人の芝生もよくチェックしています。「隣の芝生は・・・」という表現ももとは英語から来ています。これは家を購入した直後の画像で、庭の状態がひどかったのですが、さすがのアメリカ人もストレートに「ひどい芝生」とは言わず、「手入れが大変ですね」のようなコメントが多くありました(笑)。ちなみに、このあと必死で手入れして、今は真っ青になったのですが・・・

つまり、こんな庭でも日本人とアメリカ人では見ているところが違うのです。庭を商品や販促媒体に置き換えてみて下さい。いったい何のどこを見ているのか、日本人には想像もつかないようなケースがたくさんあります。だから日本人向けに日本語で書かれた文章を英語に置き換えても、アメリカ人の視点とはマッチしないのです。 

アメリカ人に「起承転結」でプレゼンしたら・・・ 

creative translation japanese presentation

トランスクリエーションの「創造」の部分において、重要なのはこういった「相手の視点」です。読み手をよく理解し、その人達に響くコンテンツを創造性をもって制作することが、トランスクリエーションの醍醐味になります。 

日本語と英語ではストーリーの組み立て方が違います。日本語には「起承転結」という構成方法があり、テレビCMやSNS動画などのマーケティングでもよく使われていますよね。英語は論理的な組み立てが一般的で、要点や結論を先に述べることが多いです。そのため起承転結をやると相手を混乱させる可能性があります。また、結にたどり着くまでが長いと「で、要は何が言いたいの?」と思考するせっかちな面も、アメリカ人にはあります。 

さらに日本語と英語では文書フォーマットやフォントも違います。プレスリリースや会社案内はフォーマットが異なる代表例です。フォントも言語によって使われるものが違いますし、時代の流行に左右される面もあります。英語資料をMS明朝とかで作成すると、かなりの違和感があります。私はいつも「5秒でできる資料改善」として、英語で一般的なフォントに直すようアドバイスします。今だったらFuturaとかCalibriの系統でしょうか。 

ゴールは読み手に響くこと 

色々と書いてきたので「トランスクリエーションってなんか難しそう」という印象を持ったかもしれませんが、そんなことはありません。読み手に聞いてみればいいのです。アメリカ向けの資料を作りたければ、アメリカ人に何をアピールすべきか、どんな英語を使うかなどをリサーチするのです。もちろん、身近にアメリカ人がいない、アドバイスをもらえるような人がいない、という状況も多いことと思います。そういう時は、トランスクリエーションのプロに任せてしまう選択もあります。 

トランスクリエーションについてさらに知りたければ、こちらから資料をダウンロードしていただけます。今や世界中で人気の「抹茶」を英語でどう紹介するか、といった事例を載せています。ぜひ参考にして下さい。 

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Miyuki Sato

Cimplex Marketing Group代表
在米20年以上、ビジネス英語に関する著書を4冊出版
当ブログでもビジネス英語に関する記事を多数投稿